コラム

スペース貸しの確定申告と税金の基本|副業オーナーが知っておきたい所得区分・経費・インボイス

2026年10月26日 オーナー向けコラム

空き店舗や軒先スペースを日貸し・時間貸しで貸し出して収入が入るようになると、気になってくるのが確定申告と税金です。「会社員の副業でも申告が必要?」「どの所得になるの?」「経費には何が入る?」といった疑問をよくいただきます。この記事では、短期貸しのオーナー様が押さえておきたい税金の基本をまとめました。

※税務の取り扱いは個別の状況によって異なります。実際の申告にあたっては、税務署や税理士にご確認ください。

スペース貸しの収入は何所得になる?

スペースを貸して得た収入は、貸し方によって所得の区分が変わります。区分によって使える特典や損失の扱いが異なるため、まずは自分のケースがどれに当たるかを確認しましょう。

  • 不動産所得:部屋や店舗をそのまま貸し、場所の使用料を受け取るだけの場合。もともと不動産賃貸業をしていて、その一室を一時的に短期貸しに回した場合も、不動産所得に含めてよいとされています。
  • 雑所得:机・椅子・Wi-Fi・備品の提供や、利用後の清掃などのサービスとあわせて時間貸し・日貸しをしている場合。こうした貸し方は民泊と同様に考えられ、原則として雑所得になるとされています。
  • 事業所得:上記のような貸し出しを、事業として相当の規模で反復・継続して行っている場合。

空き店舗をそのまま1か月単位で貸すなら不動産所得、備品をそろえて清掃込みで時間貸しするなら雑所得(規模によっては事業所得)、というのが一つの目安です。判断に迷う場合は、税務署や税理士に相談しておくと安心です。

確定申告が必要になるケース

会社員・パートなど給与所得がある方

給与を1か所から受け取っていて年末調整を受けている方は、スペース貸しなど給与以外の所得(収入から経費を差し引いた金額)が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です。

ただし、次の点に注意してください。

  • 20万円は「売上」ではなく「所得(売上-経費)」で判定します。
  • 所得税の申告が不要でも、住民税の申告は必要です。お住まいの市区町村に申告しましょう。
  • 医療費控除やふるさと納税などで確定申告をする場合は、20万円以下の所得もあわせて申告する必要があります。

給与所得がない方・個人事業主の方

スペース貸しを含む1年間の所得の合計が、基礎控除などの所得控除の合計額を超える場合は、確定申告が必要です。基礎控除の額は近年の税制改正で引き上げられているため、申告する年分の金額を国税庁のホームページで確認しておきましょう。

経費にできるもの

スペース貸しのために使った費用は、必要経費として収入から差し引くことができます。主な例は次のとおりです。

  • 掲載サイトの手数料、決済手数料
  • 清掃費・清掃の外注費、消耗品費(トイレットペーパー、洗剤など)
  • 備品の購入費(机、椅子、モニターなど。高額なものは減価償却)
  • 水道光熱費、インターネット料金
  • 火災保険料・賠償責任保険料
  • 物件の減価償却費、固定資産税(所有物件の場合)
  • 修繕費、鍵やスマートロックの費用
  • 広告費、写真撮影の費用

自宅の一部や、ふだん営業している店舗を定休日だけ貸す場合は、貸し出しに使った割合(面積・日数・時間など)で按分して経費に計上します。按分の根拠は、メモなどで残しておきましょう。

消費税とインボイスの注意点

住宅の貸付けは消費税がかかりませんが、店舗・会議室・イベントスペースなどの貸付けや、1か月未満の短期の貸付けは消費税の課税対象です。

  • 基準期間(個人は前々年)の課税売上高が1,000万円以下であれば、原則として消費税の納税は免除されます(免税事業者)。
  • 利用者が法人や個人事業主の場合、インボイス(適格請求書)の発行を求められることがあります。インボイスを発行するには登録が必要で、登録すると免税事業者でも消費税の申告・納税が必要になります。
  • 免税事業者からインボイス登録した個人事業者の負担を軽くする「2割特例」は、令和8年(2026年)分の申告までが対象です。令和8年度税制改正により、個人事業者は令和9年・令和10年分について「3割特例」を適用できることになりました。

法人の利用が多いスペースかどうか、登録した場合の納税額はどのくらいかを踏まえて、インボイス登録の要否を検討しましょう。

日ごろからやっておきたいこと

  • 売上と経費を記録する:予約ごとの売上、手数料、清掃費などを月ごとにまとめておくと、申告がぐっと楽になります。
  • 領収書・明細を保存する:掲載サイトの売上明細や振込記録もあわせて保管しましょう。
  • 口座やカードを分ける:スペース貸し専用の口座・カードを使うと、私的な支出と区別しやすくなります。
  • 開業届・青色申告を検討する:事業として本格的に行う場合は、開業届と青色申告承認申請書を提出すると、青色申告特別控除などの特典を受けられる場合があります。

まとめ

スペース貸しの収入は、貸し方によって不動産所得・雑所得・事業所得のいずれかになります。会社員の方は「所得20万円以下なら所得税の申告不要、ただし住民税の申告は必要」という点を押さえておきましょう。店舗や会議室の短期貸しは消費税の課税対象になるため、売上規模や利用者層に応じてインボイス登録も検討が必要です。日ごろから売上と経費を記録しておけば、申告の時期にあわてずに済みます。

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