コラム

短期貸しの契約書の作り方|一時使用賃貸借・定期借家・利用規約の違いと入れておきたい条項

2026年10月29日 オーナー向けコラム

空き店舗や会議室を1日・1週間単位で貸すとき、「契約書は必要?」「普通の賃貸借契約書を使っていい?」と迷うオーナー様は少なくありません。短期貸しでは、長期の賃貸とは考え方が異なる点があります。この記事では、短期貸しの契約形態の違いと、契約書・利用規約に入れておきたい条項をまとめました。

※契約の取り扱いは個別の状況によって異なります。実際の契約書の作成にあたっては、弁護士などの専門家にご確認ください。

短期貸しの契約形態は大きく3つ

1. 一時使用目的の建物賃貸借

借地借家法第40条では、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、借家に関する規定(契約の更新や、貸主からの解約に正当事由が必要とする規定など)を適用しないと定めています。催事やポップアップストアなど、利用目的と期間がはっきりしている短期の貸し出しは、この「一時使用目的」の賃貸借として扱われることが多くあります。

ただし、契約書のタイトルに「一時使用」と書くだけでは足りません。利用目的・期間・料金などの実態から、一時的な使用であることが客観的にわかる必要があります。契約書には、何のために、いつからいつまで使うのかを具体的に書いておきましょう。

2. 定期建物賃貸借(定期借家契約)

数か月単位など、ある程度まとまった期間を貸す場合は、定期借家契約という選択肢もあります。期間の満了で契約が終了し、更新がないのが特徴です。1年未満の短い期間でも設定できます。

定期借家契約にするには、書面(電磁的記録を含む)で契約することに加え、契約前に「更新がなく期間の満了で終了する」ことを記載した書面を交付して説明する必要があります。この手続きが欠けると、普通の賃貸借として扱われるおそれがあるので注意しましょう。

3. 施設の利用契約(時間貸し・会議室など)

貸会議室やレンタルスペースを数時間単位で貸す場合は、建物の賃貸借ではなく、施設の利用(場所の使用許諾)に関する契約と考えられる場合もあります。この場合は、個別の契約書の代わりに、利用規約に同意してもらう形で運用するのが一般的です。

短期貸しの契約書・利用規約に入れておきたい条項

どの形態でも、トラブルを防ぐために次の項目を明確にしておきましょう。

  • 利用目的:物販、飲食、展示、教室、撮影など。目的外の利用を禁止する旨も記載します
  • 利用期間・時間:搬入・搬出の時間を含めて明記します
  • 料金と支払方法:利用料、保証金(預り金)、支払期限、振込先
  • キャンセル規定:何日前から何%のキャンセル料がかかるか
  • 原状回復・清掃:利用後の状態、ゴミの持ち帰り、清掃費の有無
  • 禁止事項:火気の使用、騒音、喫煙、転貸(又貸し)、許可のない看板設置など
  • 許認可の責任:飲食物の販売などに必要な許可は借主が取得すること
  • 損害賠償:設備や建物を壊した場合、第三者に損害を与えた場合の責任
  • 保険:借主にイベント保険などへの加入を求めるかどうか
  • 鍵の受け渡し・管理:受け渡し方法、紛失時の費用負担
  • 契約の解除:規約違反があった場合に利用を中止できること
  • 免責事項:天災や設備の故障など、貸主の責任によらない事情で利用できない場合の扱い
  • 反社会的勢力の排除:暴力団などの反社会的勢力でないことの表明と、違反時の解除

細かい運用ルールの決め方は「短期貸しで決めておくべき利用ルール10項目」でも詳しく解説しています。

契約時の実務ポイント

  • 本人確認をする:借主の氏名・住所・連絡先を確認し、法人の場合は会社名と担当者も控えておきます
  • 利用内容を事前に聞く:何を販売・開催するのか、来場者数の見込み、持ち込む機材などを確認します
  • 入居前と退去後の写真を残す:設備の状態を日付入りで記録しておくと、原状回復をめぐるトラブルを防げます
  • 電子契約も活用する:短期貸しは件数が増えがちなので、電子契約やWeb上の規約同意を使うと手間を減らせます

なお、建物の賃貸借契約書は、印紙税の課税文書には当たらないとされています(土地の賃貸借など、内容によっては課税される場合があります)。

まとめ

短期貸しでは、催事やポップアップストアのように目的と期間がはっきりした貸し出しは「一時使用目的の賃貸借」、数か月単位なら「定期借家契約」、数時間単位の会議室などは「利用規約による施設利用」と、貸し方に合った形を選ぶことが大切です。どの形でも、利用目的・期間・料金・キャンセル・原状回復・禁止事項・損害賠償は必ず書面に残しておきましょう。最初にしっかりした契約書と利用規約を用意しておけば、2回目以降の貸し出しもスムーズになります。

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